私は職歴14年の介護福祉士です。
介護の仕事に就くきっかけは、母が認知症になったことでした。
母の認知症
離婚して母一人で暮らす実家に戻った時、母の目が悪くなっていることを知りました。
母は私が10歳の時に網膜剥離の手術を受けました。
その7年後に再手術を受け右目の視力を失いました。
2年ほど前から左目も緑内障になってしまったと聞いてはいたのですが、
いっしょに暮らしてみると黒コショウだらけのチャーハンを作ったり、
洗った食器の汚れが落ちていなかったり、それほど見えなくなっていました。
私は母の負担を減らそうと食器洗い乾燥機をつけたり、
母の使い慣れたガス台を新しいものに変えてしまったり、
私が調理することを多くしたり母の仕事を取ってしまいました。
それが認知症の発症を速めてしまったようで1年もしないうちに母の言動がおかしくなりました。
検査をすると認知症でした。
左目も10㎝くらいのところが靄がかかったように見える程度だということでした。
それから、認知症はどんどん悪くなり徘徊するようになりました。
当時私は夜中の0時に出勤して昼の12時に帰宅するという仕事をしていました。
家に帰ると母はいつもいませんでした。
徘徊を繰り返すうちに転んで救急車で運ばれることもありました。
ある日仕事から帰ると、珍しく母は家にいたのですが、
顔が腫れあがっていました。
本人は「転んだ」と言ってましたが、
病院等で聞いた話では当て逃げされたのでは…とのことでした。
翌日も傷だらけの体で徘徊をしていたので、
一人で置いておくのはもう無理と思い介護施設への入所を決めました。
入所を決めたといってもかんたんには入れませんでした。
母の場合、目が不自由ということで普通の老人介護施設には入れませんでした。
ケアマネージャーに相談して、短期入所させてくれる有料老人ホームに預け
毎日施設探しをしました。
3ヶ月過ぎたころ役場から
「今まで使ったことがない盲人用施設が認知症も受け入れることになったのでどうか?」
という連絡が入り見学に行きました。
少し暗い感じはしましたが、
高額な有料老人ホームにいつまでも入れて置ける金銭的余裕がなかったため移ることを決めました。
入所してからしばらくは片道2時間半の距離を毎週通っていました。
そのうち、対応に疑問を感じるようになり、
職員の方に聞いてみると「認知症ですから…」と曖昧な返事があるだけでした。
当時の私は知識もないし、何より自分の親を他人に預けているという負い目もあり、
不満はあっても強く言うことができませんでした。
そこで働きながら知識を付けられればと介護の仕事に転職しました。
母は67歳で認知症になり、70歳で寝たきりになり、76歳で亡くなりました。
今思えば私に知識があれば、認知症の進行を少しでも遅らせられたのではないか…。
もう少しちゃんとした介護をしてもらってもう少し長生きできたのではないか…。
と、考えてしまいます。
介護経験のある介護士からのお願いです。
ご自宅で介護をされている方に、
自分たちだけで頑張らずにヘルパー等を使ってください。
施設に預けられている方、疑問や不満は職員にぶつけてください。
後になって、後悔しないように……。
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